「繊細すぎ」と言われたら、それ、ガスライティングかも(第2回)

こんにちは、心理カウンセラーの立花やよいです。

前回は、HSP・エンパス vs 自己愛さん「なぜHSPはナルシストに狙われやすいのか?」というお話をしました。

わたしの心はクタクタ…でも相手はどこ吹く風

そんな状態に、思い当たることがあるかもしれません。

今回はその続きとして、“言葉”の側面から見ていきましょう。ナルシストがよく使う「ガスライティング」という手口と、そこから自分を守る方法についてお伝えしていきますね。


ナルシシズム傾向が強い人は、自分の虐待的な言動を指摘されたときに

「あなたが敏感すぎるだけ」

と相手を責めようとします。

これは「ガスライティング」と呼ばれる心理的操作の一種で、

冗談で言っただけなのに、被害妄想じゃない?

などと話をすり替えることで、被害者の感じ方を否定します。

でも、こうした言葉に巻き込まれずに、自分を守ることは可能です。

目次

こんなふうに言われたことはありませんか?

パートナーや家族、上司や同僚などに、あなたが「それ、ちょっと嫌だった」を伝えたとき―

「敏感すぎるんじゃない?」

「もっと強くならなきゃ」

「ただの冗談でしょ?」

「なんでそんなに気にするの?」

「いちいち反応しすぎ」

「そんなの流せばいいじゃん」

…こうした言葉を何度も繰り返し浴びせられると、

自分がおかしいのかも、私が繊細すぎるのかな?

と、自分の感覚に自信が持てなくなっていくんです。

ガスライティングによって違和感を伝えた側が責められ、自分が間違っていると感じ始める構造を表したイラスト
違和感を伝えたら、なぜか“私のせい”にされる構造

とくに、それが子どもの頃から親に言われ続けてきた言葉だったとしたら、
その影響は、とても強く響いてしまうことがあります。

ガスライティングとは「感じ方を奪うこと」

「ガスライティング」とは、相手の感じたこと、記憶、そして現実認識そのものを否定することで、その人の自信や判断力をじわじわと奪っていく心理的な操作です。

特に、ナルシスト(自己愛が強い人)や、その言動を支える共犯者(イネイブラー)は、相手の反応に対して

「大げさ」「感情的すぎる」「考えすぎ」

といった言葉で、その感じ方を否定し、本来あって当然の怒りや悲しみを封じようとします。

彼らはまた、自身の行動を正当化するために、もっともらしい弁明を並べたり、事実そのものを歪曲したりすることもよくあります。

すると、言われた側は混乱し、「もしかして、私がおかしいのかな?」と自分の感覚を疑い始めてしまう。

そして、何度も“感じたこと”を否定されるうちに、

だんだんと自分の感覚に自信が持てなくなり

気づかないうちに相手の言葉が「正しさ」として心に深く刷り込まれてしまうのです。

つまり、ガスライティングとは、相手の感じたことや現実認識を否定することで、相手をコントロールしようとする、とても巧妙な言葉による支配なのです。

ガスライティングによって感情センサーが混乱し、正しい感じ方がわからなくなっている状態を描いた図

ナルシストが使う4つの典型的なやり方

ガスライティングには、いくつかの典型的なパターンがあります。ここでは、よく見られる4つの例を見ていきましょう。

「理性的な人」を装う

「自分は冷静なのに、あなたは感情的すぎる」

このように、あたかも自分は論理的・客観的で、
あなたはヒステリックで非理性的だと決めつけてくるパターンです。

実際には、ナルシスト自身が感情の扱いが苦手だったり、
自分の怒りや不安を相手に投影しているだけというケースも多く見られます。

「冗談なのに」でごまかす

あなたの傷つきや違和感を伝えても、侮辱や見下しを、

「そんなつもりで言ったんじゃないのに、ただの冗談なのに」

とごまかし、相手を「ユーモアが通じない人」に見せようとしてきます。

一見軽く聞こえるかもしれませんが、実は悪意あるからかいや精神的いじめであることも多く、家庭内や職場など、身近な場面でも日常的に使われている、彼らの常套手段なんです。

「現実主義者」ぶる

「現実を見ろ」「世の中は甘くない」

などと語り、自分を 冷静で正しい人 のように見せかけます。

こうした言葉は一見もっともらしく聞こえるため、
相手は「そうかもしれない…」と なんとなく納得させられてしまったり、反論できなくなってしまいます。

実際には、相手のつらさや気持ちを「甘え」と切り捨てていたり(共感力の欠如)、
冷たさや厳しさを「正しさ」にすり替えて押しつけている(攻撃性を正当化)だけのことも多いんです。

「共感してる風」を装う(隠れナルシスト)

「大丈夫?」と寄り添うふりをしながら、裏では相手を傷つけたり、わざと孤立させたりします。

一見やさしく見えるこの言動の裏で、「あの人、なんであんなに敏感なの?」と周囲に吹き込んだりして、
被害者の印象を悪くして孤立させる、とても巧妙で見抜きにくいガスライティングのかたちです。

心のセンサーを信じて

あなたの心が「何か違う」と感じたとき、
それは、あなたを守ろうとする心のセンサーがくれた大切なサインです。

どうか、その感情を否定しないでください。

あなたの感情は、決して「大げさ」なんかじゃありません。

まずは「そのまま」受け止めてみましょう。

本当にあなたを大切に思う人は、あなたの感情を否定したり、笑いものにしたりしません。

あなたの感情に耳を傾け、尊重してくれるはずです。

自分を守るために、あなたの心のセンサーを信じてください。

あなたが持つ繊細さは、
世界を深く感じ取る、かけがえのない力。守るべき力。そして、あなたが大切にしていい力
なのです。

胸に手を当てて、ハートを抱きしめる女性のイラスト。安心した表情で、自分の感情や感覚を大切にしている様子。

でも、どうやってこの関係から抜け出せばいいの?

そんな疑問には、次回の第3回でしっかりお答えしていきますね。

▶ このシリーズの他の記事もあわせてご覧ください

・第1回:HSP・エンパス vs 自己愛さん「なぜHSPはナルシストに狙われやすいのか?」

・第3回:HSPが自己愛さんから自分を守る対処法

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