寝ても疲れが取れない。身体は休んでいるのに、なぜ疲れるのか
ちゃんと寝てる。
少なくとも布団には入ってる。
でも朝起きた瞬間、昨日の疲れがそのまま残ってる。寝る意味あるのかと思う。
目覚ましが鳴る前に目が覚める。4時半とか5時とか。身体はだるいのに、頭だけが先に動き出す。
今日やらなきゃいけないこと、返してないメール、気になってる人間関係。もう始まってる。
健康診断は「異常なし」。
血液検査も問題ない。
医者には「ストレスですかね、運動してみてください」と言われた。
運動する気力がないから来てるのに。
サプリも試した。
枕も変えた。
寝る前のスマホもやめた。
全部やった。
でも変わらない。
夜中に目が覚める。2時とか3時とか。
頭が勝手に起動する。
明日のこと、来週のこと、先月のあの出来事。
同じことを何度も考えてる。
結論は出てるのに、また考えてる。止められない。
土日は寝溜めしようと10時まで寝てみる。
でも起きた瞬間、「また月曜が来る」と思うと、もう疲れている。
温泉も同じ。
身体は温まるけど、頭の中は止まらない。
最近、集中力が続かない。
本を読んでも同じ行を3回読んでる。
前は、こんなことはなかったのに。
もう何年もこの状態な気がする。
いつからこうなったのかわからない。
たぶん少しずつだった。
気づいたら「寝ても疲れが取れない」が、普通になっていた。

心理カウンセラーの立花やよいです。
私自身も、かつてまったく同じ状態でした。朝起きても頭にモヤがかかったような、すっきりしない日々を過ごしていました。
でも、神経のケアをすることで、身体が安心してぐっすり眠れるようになったんです。
今日は、その原因を「脳と自律神経の仕組み」から紐解いていきますね。
寝ても疲れが取れないのは、「脳の電源」が落ちていないから
身体は横になっている。目も閉じている。なのに、翌朝のメーター(体力)が回復していない。
これって、スマホの画面は真っ暗なのに、バックグラウンドでアプリが何十個も動き続けて、バッテリーを消耗している。まさに、あの状態なんです。
脳のシャットダウンが正常にできていない。
その原因は、自律神経の仕組みにあります。
3つの自律神経状態(信号機モデル)
自律神経は、心拍や呼吸、消化など、私たちが意識しなくても自動で働いている神経系です。
これまでは副交感神経(休息)と交感神経(闘争)の2つで説明されてきましたが、近年の研究(ポリヴェーガル理論)では、信号機のように3つのモードがあるとされています。
🟢 1. 安全モード:休息とつながり
心身ともにリラックスし、他者と心地よく繋がれる状態です。 「しっかり眠れる」「ごはんが美味しい」「集中できる」のは、このモードにいる時です。
🟡 2. 戦闘モード:闘争か逃走
不安や焦りを感じ、心拍数が上がっている状態です。 本来は危機を乗り切るためのエネルギーですが、現代人はここから降りられなくなっています。
🔴 3. フリーズモード:遮断と無気力
あまりに強いストレスが続き、システムがフリーズした状態です。 感情が動かない、体が鉛のように重い、何もしたくない……。これは身体の究極の防御反応です。
「アクセル踏みっぱなし」の人に起きていること

信号が「🟡 戦闘モード」に切り替わったままスイッチが戻らなくなっている。これが「アクセルを踏みっぱなし」の状態です。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
本来、野生動物が「戦うモード」に入るのは一時的なものです。
敵から逃げ切るために全力で走ったり、獲物を狩るために戦ったり。そうして激しく身体を動かして危機を乗り切れば、脳は「ミッション完了」と判断し、自然と休息モードに戻れる仕組みになっています。
ところが、現代の「戦闘」は、デスクワークや人間関係の気遣い、先の見えない不安です。
頭の中ではアプリがフル稼働して「戦え」という命令が出ているのに、身体は椅子に座ったまま。
戦って終わらせることも、逃げ切って安心することもできない。つまり、準備されたエネルギーの出口がないんです。
脳はいつまでも「ミッション完了」の信号が届かないので、戦闘状態を「通常運転」だと誤認し始めます。
すると、身体は休んでいるつもりでも、内部システムは常にフル回転を続け、以下のようなサインが出てきます。
- 身体はだるいのに頭だけが冴えて休まらない
- 夜中にふと目が覚めて不安なことを何度も反復してしまう
- 大勢の人といるのにどこか自分だけ孤立しているような感じがする
- 休日になっても何かをしていないと落ち着かない
これらはすべて、あなたの神経系が「戦闘モード」から降りられなくなっている状態です。
このスイッチは、脳があなたを守るために自動で入れているもの。意識よりもっと深い場所で、身体が「今は休んでいる場合じゃない」と判断し続けているんです。
この過剰なエネルギーを抱えたまま、日常を回し続けてきた。それ自体が、相当な頑張りなんです。
身体のケアと、神経のケアは別物
「じゃあ、戦闘モードから降りるために、温泉やマッサージでリラックスすればいいの?」と思った方もいるかもしれません。
たしかに、こわばった肩や背中をプロに揉みほぐしてもらうのは、本当に心地いいですよね。私も大好きですし、たまに自分へのご褒美で行きます。
ただ、終わった直後はいいけれど、数日たったらまたカチコチに戻っていると感じることはないですか。
それは、身体のケアと神経のケアでは、アプローチしている階層が違うからなんです。
温泉やマッサージは、あくまで末端の身体に作用するものです。筋肉はほぐれるし、血行も良くなる。でも、指令塔である脳の「戦闘モード」というOSの設定までは書き換わりません。
たとえば、もう結論は出ているのに、不安なことを考え続けてしまうようなとき。 これは脳がまだ危険だと判断し、自分を守ろうとしている防衛反応なんです。
脳は考え続けることで、何かに対策し、備えているつもりになっています。だから、脳自身が思考を手放すことを許可してくれないのです。
この防衛反応が作動している限り、いくら外側から筋肉をほぐしても、脳はすぐにまた身体を強張らせ、エネルギーを消耗させ始めます。
お湯に浸かっても、サプリを飲んでも、枕を変えても。
脳の内側で危険信号が出続けている限り、止まりません。
逆に言えば、
脳に「もう安全だ」という信号を届けることができれば、自然と回復のサイクルは動き出します。
では、どうすれば脳は休めるのか
必要なのは、2つのアプローチです。
1. 溜まったエネルギーの出口を作ること
戦うために準備されたエネルギーが、身体の中で行き場を失っています。この「溜まり」を物理的に逃がしてあげる必要があります。
といっても、別に今すぐ誰かと戦闘しなくても大丈夫です(笑)
ウォーキングやストレッチ、そして「ゆっくりと息を吐くこと」。これだけでも、脳に「今は安全だ」という信号が届き始めます。
なぜなら、呼吸は自律神経の中で唯一、意識的にコントロールできる機能だからです。ゆっくり息を吐くことで、脳に直接「もう安全だよ」と伝えることができます。
2. 過敏になったセンサーの感度を元に戻すこと
長期間、戦闘モードが続くと、脳の危険センサーが過敏になります。
相手のちょっとした表情、メールの文面、ふとした沈黙。本来は脅威ではない情報まで、すべて「危険信号」として拾ってしまうようになるんです。
これ、例えるなら火災報知器の感度が上がりすぎて、料理の湯気でスプリンクラーが作動してしまうような状態です。お料理どころではありませんよね。
毎日これでは、疲弊してしまうのは当然です。だから、感度の設定を正常値に戻してあげる必要があります。
ここでポイントになるのが、自分の身体の反応に意識を向けていくこと。
胸のざわざわ、肩のこわばり、呼吸の浅さ。こうした身体の反応に気づくことが、センサーの誤作動を解いていく回路になります。
神経が落ち着いてくると、相手の表情にいちいち反応しなくなる。
頭の中が静かになって、ベッドに深く沈み込むような、ぐっすりとした眠りが戻ってくる。
「ああ、自分は安全なんだ」と脳が納得したとき、本来のパフォーマンスはごく自然に戻ってきます。
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経営者・ビジネスパーソンの再調整
「休んでも疲れが取れない」「常に脳が過回転している」状態を、思考と身体の両面から再調整していくセッションをおこなっています。
仕事における過敏さ・働き方の再調整
周囲の情報を拾いすぎてしまう特性を整理し、神経系の過回転を抑えて自分らしく働くためのセッションです。
