「やらなきゃいけないのに動けない」燃え尽き症候群は、休んでも治りません
やらなきゃいけないことはわかってる。
頭ではわかってる。 でも身体が動かない。
朝、目は覚める。アラームより先に。
でもそこから起き上がれない。
布団の中で天井を見てる。30分、1時間。
会議の資料、まだ手をつけていない。
締め切りは明日。 頭の中では構成まで見えているのに、パソコンを開けない。
開いても、画面を見つめているだけ。
1時間経って、1行も書けていない。
前は違った。
こんなことなかった。
むしろ誰よりも早く、誰よりも出してた。
周りにすごいねって言われてた。
それが今、歯を磨くのに気合がいる。
シャワーを浴びるのが「今日のタスク」になっている。
いい加減にしろよ、俺。
「疲れてるだけだろう」と、先週末は泥のように眠った。
でも月曜の朝が来ると、やっぱり身体が鉛みたいに重い。
休めば治ると思っていた。でも、違う。
部下や取引先の前では、まだ「デキる自分」を演じている。
周りもまだ、それを信じている。
その期待に応えなきゃいけない。
その期待が重い。
でも「実は何もできていない」なんて言ったら、全部崩れる。
誰にも言えない。
最近、人と会うのが怖くなった。
「最近どう?」って聞かれるのが一番きつい。
「元気だよ」って嘘をつく。
笑顔を作る。
それだけで1日分のエネルギーを使い切る。
弱音を吐いたら、積み上げてきたものが全部ガラガラと崩れる気がして、 それが一番怖い。
だから深夜に一人で検索する。
「燃え尽き症候群」
検索結果に出てくる「休養しましょう」なんて生ぬるいアドバイスは、もう聞き飽きた。
やる気がないんじゃない。
やりたい気持ちはある。
焦りもある。
なのに、身体が応答しない。
誰か、この身体を乗っ取っているブレーキの外し方を教えてくれ。
俺を、また動けるようにしてくれ。

こんにちは、心理カウンセラーの立花やよいです。
私自身もかつて、まったく同じ状態になっていました。
少し休めばまた戻れると思って休んでは復帰し、また崩れる。その繰り返しでした。
そこから神経のケアを取り入れるようになって、ようやくこの負のサイクルから抜け出すことができたんです。
今日は、その燃え尽き症候群の仕組みを解説していきますね。
休んでも回復しないのは、「ブレーカー」が落ちたままだから
燃え尽き症候群は、ただの疲れではありません。
あなたの神経系が「これ以上は無理だ」と判断して、強制的にブレーカーを落とした。身体を動かなくすることで、あなたを守ろうとしている「強制終了」の状態です。
家の電気を使いすぎると、バチンとブレーカーが落ちますよね。それと同じことが、私たちの脳と身体にも起きるんです。
布団の中に入っても、ブレーカーが落ちたままなので、回路に電気が通っていないんです。
だから、どれだけ眠っても動けない。鉛のように体が重い。それってサボっているとか、そういうことじゃないんですよね。やる気がないからでもない。
そもそも、回路に電気が通っていないんです。システム自体がダウンして、そのままロックされているからです。
ポリヴェーガル理論では、この違いを自律神経の3つのモードで説明しています。
🟢 安全モード:リラックスし、身体が回復・修復できる状態
🟡 戦闘モード:警戒・集中。全エネルギーを投入している状態
🔴 フリーズモード:負荷の限界を超え、システムが強制停止した状態
(参照:信号機モデルの詳しい解説はこちら)
私たちは、気を張って頑張り続けたり、何かに耐え続けたりしているとき、脳は🟡 戦闘モードでフル回転しています。
でも、容量の限界を超えたとき、神経系はこれ以上はもたないと判断して、🔴フリーズモードに入ります。
ここで、気をつけてほしいことがあります。
多くの人がやってしまうのが、止まっている状態(停止)を休んでいる状態(回復)だと勘違いすることです。
ソファに倒れ込んでスマホを眺めたり、動けないからとただ横になったりしている。それを休みだと思っていませんか?
残念ながら、それは🟢 回復モードへの切り替えではなく、単に🔴 フリーズモードのまま固まっているに過ぎません。
止まっているのと、回復しているのは、まったく別物なんです。
大事なのは、🔴 フリーズモードから🟢 回復モードへ、意識的にスイッチを入れ直すことなんです。
再起動の前に知っておくべきこと
ガソリンをどれだけ満タンに入れても、エンジンそのものが止まっていれば、車は動かないのと同じです。
サプリで栄養を補うこと、ジムで身体を動かすこと、瞑想すること。それらよりも先に必要なのは、まず止まってしまったエンジンを再起動させること。
そして一番やってはいけないのが、「いい加減にしろ」と自分を叩き起こそうとすることです。
止まっているエンジンに、無理やり高電圧を流せば回路が傷んでしまうのと同じで、意志の力で無理をさせても、ただただ消耗を早めてしまうだけなんです。
ブレーカーを安全に再起動する3つの手順
落ちてしまったブレーカーを戻し、また動けるようになるためには、まず動かなくなってしまった身体のセンサーを整えることから始めます。
思考で自分を説得するのではなく、身体の微細な感覚を通じて、神経系を再調整していく。 根性や意志の力ではなく、身体からアプローチしていくんです。

1. エネルギー漏れを止め安全を確保する
まずは今あるエネルギーがこれ以上漏れ出さないようにすること。
仕事の連絡を一時的にでも断つ、不快な音や光を避ける。神経系に「今、自分を脅かすものはここにはいない」と教えてあげる環境を整えます。
戦場のような緊張感の中では、どれだけ栄養を摂っても身体は受け取れません。まずは外側の刺激をシャットアウトすることが先です。
2. 自分の内側の微細な感覚とつながる
いきなりやる気を出そうとしなくていいんです。
自分の呼吸、心拍、あるいは筋肉の張りなど、身体の内側の小さな感覚に、ただ意識を向けてみてください。
これを繰り返すことで、シャットダウンで切断されていた脳と身体の通信が、少しずつ再開されます。
3. 穏やかに少しずつ活性化させる
停止した状態から、いきなり全力疾走はできません。
ゆっくり視線を動かす、寝たまま膝を左右に揺らす、自分の肌の感触を確かめる。そんな微細な動きを通じて、神経系に「動いても安全だ」という信号を送っていきます。
コツは、どれだけ怠惰に野心なく動けるかです。
うまくやろうとか、これで治そうという思いすら一度捨ててください。目標達成のためのトレーニングではなく、ただ赤ん坊が自分の手足の動かし方を覚えるときのような、無垢な動き。
その頑張らない動きこそが、強固にかかったブレーキを安全に解除する、唯一のコマンドになります。
自分のハンドルを取り戻すために
動けなくなるのは、身体が自分をこれ以上傷つけないために、必死に守ってくれている仕組みだったんですね。
だから戻すときも、無理にブレーカーを上げるのではなく、マニュアルに沿って一つひとつの回路を丁寧に点検し、安全を確かめながら電気を通していく。
そのプロセスを経て戻ってきたとき、以前よりもずっと、自分の身体というシステムの扱い方に習熟しているはずです。
もし、一人でそのブレーカーを戻すのが難しいと感じたら、いつでも頼ってください。
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● 経営者・ビジネスパーソンの再調整
プレッシャーや責任感によるバーンアウト、フリーズ状態からの回復を、神経系の仕組みに基づいてサポートします。
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周囲の情報を拾いすぎてしまう特性を整理し、自分らしく働くためのセッションです。
