トラウマボンドとは?おかしいと分かっているのに抜け出せない理由
「言っていることが絶対に理不尽だ」
「私ばかりが責められるのは、どう考えてもおかしい」
そう頭では分かっているのに、
相手が不機嫌になった途端、ビクついて機嫌を取ろうとしてしまう。
「もう限界、離れたい」
このままじゃダメだって分かってるのに、
どうしても足がすくんで離れられない。
私が弱いから?我慢が足りないのかな?
「あんなに嫌な思いをさせられているのに、どうして拒絶できないんだろう」
頭の中でぐるぐると渦巻いて、
「私、頭がおかしくなっちゃったのかな…」

こんにちは、心理カウンセラーの立花やよいです。
最近、モラハラのパートナーとの関係についてのご相談をたくさんいただくんですが、
みなさん口を揃えて、
「相手に対して怒ってないんです」
「私も怒ってしまったことあったし」
っておっしゃるんですよね。
そして、
「こんな依存的で何もできない私だから離れられない」
と、自分を責めてしまう方がとても多いんです。
でも、離れられないのはあなたが悪いからでも、心が弱いからでもありません。
傷つけてくる相手と強い心理的な結びつきができてしまう
「トラウマボンド」という脳の仕組みが働いているからです。
トラウマボンドって何?
トラウマボンド(Trauma Bonding)って、直訳するとトラウマの絆って意味ですが、
トラウマを持った人同士の絆という意味ではなくて
モラハラやDVなどの支配的な関係の中で
時折見せられる優しさが「やっぱりこの人はいい人なんだ」という錯覚を生んで、
恐怖と安心がセットになって愛着と結びついてしまう状態のことです。

散々傷つけられた後に、急に優しくなったり、機嫌が良くなって普通の態度に戻ったりすると、
「私が怒らせるようなことを言ったからかな?」
「伝え方を変えれば分かってくれるかも」
「でもやっぱり、あの言い方はおかしいよね…」
こんな期待と不安のあいだでぐるぐる考え続けて、離れられなくなってしまうんですよね。
ちなみにこのトラウマボンドは、恋愛や夫婦関係だけでなく、親子関係や職場の上下関係でもまったく同じことが起こります。
なぜトラウマボンドからなかなか抜け出せないのか
これ、心だけの問題ではなくて、脳と身体の反応が関係しているからなんです。
ずっと恐怖に晒されたあとに相手から優しくされると、
その落差が大きいほど脳は強い安心を感じます。
すると脳内でドーパミンが出て、脳が強い快楽を得るんです。
つまり、ギャンブルと同じで、
いつ来るかわからないたまの安心を、脳がずっと期待して離れられなくなってしまうんですよね。
さらに、
相手の激しい怒号や威圧を受けると、脳は恐怖でパニックを起こし、身体をフリーズさせます。
なんとか場を収めようとしてしまうのも、身体が動かなくなる感覚が出てくるのも、無理もないことなんです。
そしてもうひとつ、
日常的に否定や無視、ガスライティングを受け続けることで、少しずつ自信が削られていってしまいます。
「私がおかしいのかな?」と自分の違和感すら信じられなくなり、
「私を理解してくれるのはこの人しかいない」
「私がダメだからこんな目にあうんだ」
と徐々に信じ込まされてしまうんです。

トラウマボンドに陥っている7つのサイン
こんなサイン、ありませんか?
- 相手の機嫌が気になって仕方がない
- 本当なら許せないはずの暴言や態度を、仕方ないと受け入れてしまっている
- 相手に傷つけられた側なのに、怒らせた自分が悪いと自分を責めてしまう
- 相手の理不尽さに思わず怒り返してしまい、そんな自分も同罪だと思ってしまう
- 周りの家族や友人には、相手との本当の関係やトラブルを隠している
- 相手と一緒にいると常に頭の中が混乱していて、心が休まらない
- 友人や家族の悪口を吹き込まれ、周囲から孤立させられている
もし当てはまるものがいくつかあるなら、トラウマボンドのサイクルの中にいるのかもしれません。
トラウマボンドから抜け出すために、まず知っておいてほしいこと
恐怖と安心が交互にくることで脳が反応している状態、それがトラウマボンドです。
ここから精神的にも肉体的にも抜け出すことがいちばんですが、
まずはこの仕組みを理解すること
それだけでも、大きな前進です。
ただ、知った上で距離を置こうとしたとき、強い不安や罪悪感が襲ってくることがあります。
これも知っておいてください。
あなたの性格がこうだからという問題ではありません
脳や神経系が起こしている離脱症状のようなものです
これもよく陥りがちなんですが、
自分を責めてしまうと心も体も固まって余計に動けなくなってしまいます
なので、
焦る必要はまったくありません。
いまこの記事を読んで「そういう仕組みだったんだ」と分かっただけで、もうこのサイクルから抜け出し始めています。
少しでもほっとした感覚があれば、その感覚を大切にしてあげてくださいね。
* * *
いつも私が悪いと思ってしまう私。
離れたいのに足がすくんで動けない私。
誰にも本音を話せなくなっている私。
その子たちには、それぞれ役割があります。
* * *
